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2024年版 PAN系炭素繊維・複合材料市場の展望と戦略

グローバル炭素繊維市場は長らく日本の炭素繊維メーカーがけん引してきた。FRP(強化プラスチック)のガラス繊維に代替する素材として1970年代に今ではグローバル標準となるT300が東レより開発され、軽量且つ高強度(引張強度、高剛性など)な素材として、航空機をはじめとするモビリティ分野、軽くてたわみ・強度が要求されるスポーツ・レジャー、圧力タンクでの採用により市場を順調に拡大させてきた。 近年では、新エネルギー用途として風力発電翼、水素用圧力タンクでの採用も増加している。このように、炭素繊維市場は日本のメーカーを筆頭に成長を遂げている一方で、中国メーカーの台頭(特にラージトウ)や炭素繊維を使う側となるCFRPメーカーの炭素繊維に対するコスト・需要が懸念されている状況にある。言わば、炭素繊維市場の今後に向けては、確実な成長が見込まれるものの、成長するスピード含めて、炭素繊維メーカーと炭素繊維ユーザーの間には少し見解に乖離がある状況が見受けられる。CFRPメーカーが炭素繊維を大量に使用できるような環境・サプライチェーンを炭素繊維メーカー、CFRPメーカー、およびエンドユーザーで構築する必要があり、そのために糸メーカーとCFRPメーカーが同じ方向を向くことが極めて重要といえる。

発刊日 2024年10月30日 体裁 248頁
資料コード C66107700 PDFサイズ 15.7MB
カテゴリ ファッション、スポーツ、美容、生活雑貨、消費財 / マテリアル / 環境・エネルギー、自動車、機械、エレクトロニクス / 海外情報掲載
調査資料価格 242,000円(税込)~    価格表を開く
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目次

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【ク゛ラフ】PAN系炭素繊維市場規模推移(2020~2023年、2024年見込、2025~2030年予測)
13
2.企業動向
3.展望と課題
19
■中国政府、炭素繊維をハイエンド材料と位置付け、「カーボンバレー」PJを推進 日系CFメーカーは台頭する中国メーカーのさらに先へ、欧米・アジア市場の確実な拡大を構築
■既存アプリケーションの更なる拡大が国内メーカーの短期的なターゲット
■バリューチェーン全体でのCO2排出量削減もセットで考慮 EoL製品のリサイクルだけでなく製造工程における低CO2化の推進も重要
33
45
52
59
【ク゛ラフ】炭素繊維複合材(CFRP)グローバル市場規模(2020年~2023年、2024年見込、2025~2030年予測)
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【表】各種成形法の特徴
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【図】CFRP成形フロー
65
■「CFメーカー傘下型」「独立・単体型」で展開するCFRP市場のプレーヤー 傘下型は航空機やエアモビリティ、自動車をコア開発事業として位置付け
【表】CFRPメーカー概要一例①
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【表】CFRPメーカー概要一例②
73
■CFRP市場の更なる拡大にはCFメーカーによる独立企業との密な連携 日本国内ならではニーズ対応にはユーザーの声を聞き川上へ伝達することが重要
77
①熱分解法
リサイクル炭素繊維製品の製造・販売を事業化しているメーカーの多くは熱分解法を採用 研究機関Fraunhoferはマイクロ波を用いた熱分解技術に着目
②化学分解法
溶剤の処理コスト課題を克服できれば省エネ技術として更なる注目度の高まりが期待 CO2排出量が一般的な熱分解法の20%以下まで抑制されるという試験結果も発表
■リサイクラーだけでなく炭素繊維メーカーもリサイクル技術に着手
■製品のEoLだけでなくCO2排出量削減は製造工程の過程でも注目度が高い バイオ原材料の使用、再エネ発電、マイクロ波焼成など様々な技術が近年活発化
【表】製造段階でのCO2排出量削減への取り組みビジョン
87
【ク゛ラフ】炭素繊維製造時のCO2排出原単位のビジョン値
87
【表】技術革新の取り組み(国家プロジェクトなどの取り組み紹介)
89
◆東レ株式会社
93
・今後の成長ドライバーとして、9つのアプリケーションを掲げ、戦略的に投資を行う 2025年度において、売上収益3,700億円、事業利益360億円を目指す
・今後のグローバル競争力を見据えた、炭素繊維の生産能力増強に注力
・CO2排出量削減とCCUS導入により、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す
・水素社会到来に向けて、炭素繊維事業では高圧ガスタンク、ガス拡散層基材に注力する
◆帝人株式会社
101
・自社でプリカーサーから成形品まで一気通貫で行う体制を国内外で構築 TATとしての統合化により、2030年までに自動車複合材料で2,000億円規模を目指す
・注目されているラージトウではなく自社の強みとなるレギュラートウでの事業展開を図る これまで培ってきたスポーツ・レジャー用途をアジアでも展開、同地域のRT市場をけん引
・長年炭素繊維・複合材料のLCAにも着手、海外でもLCA算出方法を確立 自社のみでの開発でなく、他社のノウハウを融合したCF/CFRPの環境負荷低減に着目
・Aligoプロセスにより低コストなCFRPや他社との差別化を図った製品群の開発を狙う
◆三菱ケミカルグループ株式会社
107
・炭素繊維事業を3つの本部に分けることでサプライチェーンの川下の強化も図る
・PAN系のRTに注力、主に航空機や高級自動車といったハイグレードレベルに着目
・c-m-pやC.P.Cの完全子会社により、CFRPやSMC事業を強化 自動車だけでなく“新モビリティ分野”も新たな事業領域として開拓していく方針
・環境対応にも積極的に製品を開発、DURABIOを筆頭に原料のバイオ化を狙う CFKなどの知見を国内新菱で融合し、使用済みCFRPのリサイクルも着手
◆SGLカーボンジャパン株式会社
111
・自動車向けの炭素繊維メーカーとしてのポジションを確立し自動車市場でのCFRPをけん引
・RTの生産をストップし、LTのみの一本軸で様々なアプリケーションに着目 中国が注目する風力発電に敢えて着目せず、飛行機や自動車でのLT開発を進める
・バイオマス発電や水力発電を用いた炭素繊維の製造によりCO2排出量50%削減を可能に 炭素繊維事業売却も視野に入れるものの、戦略的な用途開拓により事業継続を検討
◆Formosa Plastics Group
116
・2022年に生産能力を減少させたものの、スポーツ需要の回復により2025年に増強計画
・中国が競合になるであろう風力発電翼用途への注目度は低い 直近で開発したTC880は航空機にも使用できるグレードとして展開
・リサイクルには関与せず、バイオANの調達による低CO2化を図る 今後は自社の拠点でのISCC PLUS取得も視野に入れることで中国との差別化を図る
◆三井化学株式会社
120
・オレフィン事業の更なる拡大に向け、炭素繊維材料に着目 先駆けとなる熱可塑性樹脂を用いたCFRPの研究開発に2014年より開始
・これまでの自動車へのPP採用実績を活かしモビリティ用途に着目
・日本の物流で必要とされる“決まったルート”をカギに自動配送などのモビリティを狙う 2024年6月には子会社アークとToyotaのFortunerコンセプトモデルにCFRPが採用
・CFRPの開発だけでなく省エネ技術を用いた炭素繊維原料の開発にも着手 マイクロ波化学のマイクロ波を用い耐炎化・炭化プロセスを一貫化することで省エネを実現
・三井化学の素材技術とアークの設計製造技術を活かし、ドローンブレードを開発 サンプルワークは既に開始しており、2025年以降の量産化を目指す
◆株式会社チャレンヂ
127
・CFRPのモノづくりに関わる知見・ノウハウが強み
・PCMを独自技術と位置付け、ドローンのプロペラ等、量産性を活かせる用途の開拓に注力
・航空宇宙防衛、自動車、eVTOLを注力分野と位置付け 航空宇宙・防衛産業対象の「JIS Q 9100」を2025年夏に取得予定
◆TIP Composite株式会社
131
・2023年9月、ジーエイチクラフトの株式を帝人から譲受し子会社化 東明グループのメインセクターである航空宇宙分野でのシナジーを見込む
・大阪4拠点、長野2拠点の計6拠点を通じ、柔軟な供給体制を提供 早くから手掛けるCFRTPはリサイクルの観点から引き続き開発を推進
・アルミをはじめとする金属からの素材置換を様々な業界に提案 GHCの長年の開発経験も活かしながら、ドローン分野での需要開拓を推進
◆フドー株式会社
136
・研究開発費の5割近くを投下し、事業基盤の強化を加速化
・蓄積された設計製造ノウハウを活かし、ワーク搬送用途部品の採用拡大を目指す 訴求ポイントは、軽さに伴う生産性向上と省エネルギー、省メンテナンス
・プレス成形法などと組み合わせた、独自の3Dプリンター成形法を開発 展示会や営業活動を通じて各産業界にアピールすると共に、量産体制の確立を急ぐ
◆佐久間特殊鋼株式会社
141
・クライアントとの強固な関係を基盤に、10年で売上倍増 次なる展開として、非自動車・非特殊鋼の取り組みにも注力
・リサイクル炭素繊維の採用による、環境とコスト面が大きな特徴 2024年の本格事業化を見据え、専門チームを正式に立ち上げる
・まずは高寸法精度、摺動性を活かした“少ロット特殊機能品”にフォーカスも 将来的にはモビリティ業界がターゲット、市場づくりとセットで開発販売を行う方針
◆スーパーレジン工業株式会社
147
・大型造形品でのGFRP採用を1970年代に実現 大阪万博博覧会公開に先駆け、太陽の塔にも同社の成形品が採用
・どの時代でも、多岐分野にわたるクライアントのニーズに合わせた開発・製造体制を構築
・スギ由来の改質リグニンを活用し、FRPのバイオ化にも着目 カーボンニュートラル時代を見据えた低炭素化へ貢献する戦略を有する
◆小松マテーレ株式会社
150
・環境配慮・持続可能性を付加価値とした先端資材製品
・「CABKOMA®ストランドロッド」は軽量かつ、組紐式による美観性も特長 2019年には「耐震補強用より線」として日本産業規格(JIS)が制定
・富岡製糸場など、様々な有形文化財の耐震補強工事で採用 次なる取り組みとして、老朽化の進んだ工場をターゲットに据える
・鋼管柱やコンクリート柱の補修材シート「CABKOMA®シート」作業工程の簡素化による、省人化・工期短縮に貢献
◆株式会社LIXIL
155
・建築業界初の試みとして炭素繊維を用いた構造物を開発
・独自開発接着技術を用いることで極限の薄さでウィンドウ・アーチでのCFRP使用を実現 意匠性を重視しアルミの使用量を最小限にしつつ荷重によるたわみという課題を解決
・2024年にはパノラマウィンドウでRed Dot Design賞のBest of the Best2024を受賞
◆株式会社新菱
160
・2018年よりリサイクル炭素繊維の回収、コンパウンド事業が本格始動 2023年にはPVパネルと炭素繊維の共用リサイクルプラントが稼働開始
・2023年度内にリサイクル炭素繊維コンパウンド生産能力を3,000t/年に拡大予定 OA機器由来のリサイクル樹脂を使用した繊維・樹脂オールリサイクル品の需要に期待
・不活性雰囲気下での熱分解による酸化ガスによる劣化の無いリサイクル炭素繊維回収に強み 三菱ケミカルグループと連携し、炭素繊維未使用分野の開拓に取り組む
◆富士加飾株式会社
165
・価格、性能、LCAなどリサイクル炭素繊維ならではのメリットの訴求でバージン材の代替ではない独自の市場開拓に取り組む
・独自の熱風循環方式により成形前の繊維配列のままで劣化の無い高純度なrCFの回収を実現 rCF単体ではなく、ペレット、不織布、織物など多様な形態の加工製品として展開
・2022年にはrCFの量産・拡販を担う子会社富士デザインを設立 材料メーカー、製品メーカーとの協業によるサステナブル製品の社会実装への取組みを強化
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